外用剤の塗り方について~アトピー性皮膚炎~
アトピー性皮膚炎の治療として、塗り薬、特にステロイド外用はスタンダードで基本となるものです。
「ステロイド」は、塗るということだけでなく、その塗り方、がとても重要であると言えます。
これまで、「赤いところ、かゆいところに塗ってくださいね、治ったらなるべくやめてくださいね。」というような指導をされてきたことも多いと思います。
赤くなったところに薬を塗るということは、「火事が起こったので火を消す」という行為です。ですが、実際、湿疹がおさまったかな・・・と思ってやめるとかなり高確率に再発することを皆さんが経験されていると思います。これは、「火事がおさまった」と思っていたけれど、実は、くすぶって火が残っていたためによる現象です。表面上、火事がおさまっていても、くすぶっている火(アトピーの場合は皮膚の炎症です)までしっかり火消しすることが大切なのです。
このことを踏まえ、現在では、湿疹がかなりきれいになってもしばらくステロイドを使用する、週2回でも月単位で継続しておく、ということが進められています。現在の皮膚科のガイドラインでは、「プロアクティブ療法」が推奨されています。「プロアクティブ療法」が、まさしく、このくすぶっている火を可能な限り消す行為、治療になるのです。
ステロイドはなるべく使いたくない、最小限にとどめたい・・・というお話もよく伺いますが、湿疹が出るたびに外用を繰り返していると、結果的にはステロイドの量も増えてしまうことが指摘されています。
今ある炎症をまず抑え、きれいになってもその炎症のもととなる部分まで治療する。次の炎症を出さない、という、治療が再発の予防につながっていくと言えます。プロアクティブ療法を取り入れたうえで、皮膚の良い状態をどのようにすれば持続できるか、その方に合った治療法を見つけていきたいと考えています。